神の服、悪魔の服 - 「 #9月14日はアジア・アフリカ民族衣装の日 」に寄せてその1 -
9月14日のアジア・アフリカ民族衣装の日に向けて、私の民族衣装に関する考えを書こうと考えていたら、ふと「神の服、悪魔の服」という記事を描いたことを思い出しました。 その記事は、後半は私の民族衣装に関する考えとはずれるので、冒頭の部分をほぼそのまま再掲します。 「人気」アイドルの衣装がナチスの制服に似ていると叩かれたのはいつのことだったやら。 ナチスは若者があこがれるために意図的に「若者があこがれるようなデザインの」制服を採用したというのは、実在の軍服を研究している人にとっては大常識になっていると記憶しています。 ジオン(ガンダム)やギルガメス(ボトムズ)のような架空の軍隊の制服ならまだしも、ナチスが採用してしまったがために、デザインだけ見れば「若者があこがれる」だけのはずの制服が、ナチスを宣伝する「悪魔の服」になってしまったわけですね。要するに「プロパガンダ」ですよ。 一方で、「神の服」と言えそうなのは女性用のヴェールです。「ヴェール=『神』か?」と思われるでしょうが、修道女のヴェール、尼さんの頭巾(「ヴェール」とは言い難いが……)、キリスト教式の結婚式で用いられるウェディングヴェール、そして一般女性が日常的に身につけるものとしては女性イスラム教徒の「ヴェール」などが挙げられるなど、女性用のヴェールには「宗教」に関係したものが多く見られます。 ▲修道女の修道服:「コスプレです」と断っていない限り修道女といわれるでしょう。 ▲髪の毛をすっぽり覆う頭巾:「コスプレです」と断っていても「イスラム……」といわれるでしょう。 ちなみに一般女性が日常的に頭髪や顔を覆うヴェールをつける習慣、制度はイスラム教の創始が起源ではなく、イスラム教の創始より2000年も前の中アッシリア時代の「中アッシリア法典」が起源だそうです(ちなみに女性の地位はものすごく低かったようです)。 この女性用のヴェールが、「国是(フランスの世俗化原則など)の敵」だとか、「治安の敵」だとか、はたまた「女性蔑視の象徴」だとかで、まるで「悪魔の服」がごとく扱われているのは皆様も知るところでしょう。 ナチスの制服、女性のヴェール以外にも、ここでは割愛しますが、やれ何かの象徴だ、やれ何かを想起させるだとかで槍玉に挙げられる衣服は数知れません。 すべての「衣服」に目くじらを立てた結果、...